さよなら、センセイ
「めぐみ先生は?カレシいる?」
綺羅が恵に話を振る。
それまで聞き役だった恵がビックリして顔を上げると、ヒロを除いた全員が興味津々の様子で恵を見ている。
「いるよ」
「え、どんな人!?」
食いついてくる綺羅。
恵は食べかけのお好み焼きの皿をテーブルに置いた。
「うーん、どんな人かぁ。
…強い人よ」
「え、マッチョなの!?」
恵は笑って首を横に振った。
「心の強い人。頼りになる人。
優しくて、でも、実は淋しがり屋かな。
まぁ、私には勿体ない人。
最高の人よ」
「へぇー!いいなぁ。
最高の人、なんて、言われてみてぇ」
男子はそう言って頭を抱え、女子は羨ましそうにタメ息をつく。
言った恵も照れて烏龍茶を飲む。
ヒロのことは、見ないように、
気にしないように。
本人のすぐそばで、ヒロを語ることは、あまりに恥ずかしい。
それでも、聞かれた事は正直に答える。それが、若月恵だ。