さよなら、センセイ
光英学院高校のプールは屋内型で、水泳部は年間を通して練習が出来る。
今日から早速部活があるというので、恵は一足先にプールの下見をした。
まだ、肌寒い4月。
プールには温水が張られていた。
高校だというのに、充分すぎる立派な設備。まるでスポーツクラブのようだ。
恵は時計を見る。
もうすぐ部員達が来る時間だ。着替えて待つことにした。
でも、更衣室の場所がわからない。
仕方なく、温水を管理する機械室の隅で着替えることにする。水着に着替え、上にパーカーとハーフパンツを着てプールに戻る。
プールサイドに生徒達の姿が現れた。皆、恵に気づくとパラパラと集まってくる。
「先生、こんにちは」
「はじめまして、若月です。よろしくね。
これで全員?」
「部長と副部長がまだ。クラス会が終わってないみたいです」
「そっか。
じゃ、全員揃うまでストレッチでもしながら待とうか」
と、恵が提案した時。
バタバタと背後から足音がした。
「ゴメン、ちょっと遅れた。
あ、新しい先生?」