さよなら、センセイ
「あれ、ヒデは?」

食卓にはヒロと母の分しか用意されていない。

「デートですって」
「ハ、お盛んなことで」

ヒロは呆れながら食事を始めた。



その頃。



二階では秀則がそっとヒロの部屋に入っていた。
放置してあった携帯を手にしたが、ロックがかかっていた。

仕方なく、部屋を見渡す。

そして見つけた。机上のプリント。


“光英学院高等学校 水泳部 名簿

個人情報保護の為、厳重管理のこと。
生徒は部長のみの配布につき、非常時は部長に連絡”


ーーヒロ、厳重管理だってさ。
部長だろ?ちゃんと保管しないとダメじゃないか。

秀則の口元が不敵にゆがんだ。

名簿には、生徒だけでなく顧問の電話番号に住所までしっかりと記載されていた…

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