さよなら、センセイ
「メグ、ごめん。電話越しに全部聞いてた。
ヒデがこんなことするなんて…ホントにごめん」
「ヒロ…」

秀則が去り、ヒロの腕の中で恵はわんわん泣いてしまった。不安と恐怖とが忘れられない。

「もう、大丈夫だから。メグ、泣かないで」

ヒロは優しく恵の背中をさすってくれる。

「怖かった…痛かった…
ヒロ…ごめんなさい…
私の体…あの人が…
抵抗したのに…
あぁ、私…汚い」

ガタガタと震える恵の体をヒロはさらにぎゅっと抱きしめた。

「間に合わなくて、ごめん」

「ヒロ…
私をあなたで綺麗にして。あの人の通った跡を消して。
お願い…お願いっ!」

泣きじゃくる恵にヒロは優しく優しく口づけた。
そして膝の裏に腕を差し込んでふわりと抱き上げた。

風呂場でボロ布と化した服の残骸を脱がす。

かなり抵抗したのだろう。アザとキズが痛々しい。

「メグ、ごめんな。
ずっとそばにいるから。

痛い?」

暖かいシャワーが染みるらしく、恵は顔をしかめる。

「大丈夫」

体を洗ってやり、柔らかなタオルで体を包んでやると、恵もやっと落ち着きを取り戻す。
自分でタオルを体に巻いて、部屋へと歩く。

ヒロは、散らかった部屋をさっと片付け、秀則のいた痕跡の全てを消した。




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