さよなら、センセイ
一方で山中は水泳部の屋台を見渡して眉をひそめる。
「どうも、三年生の顔触れが多いですね。
お前ら、まだ、進学決まってないだろ?
遊んでばかりいないで、勉強しなさい」
楽しそうな笑顔を浮かべていた三年生の面々の顔が曇った。
「なんだよ、文化祭くらいいいだろー」
「それが、気持ちの緩みに繋がるんだ」
「何だとっ!」
三年生達がムカっとして、山中に食ってかかろうとした。
だが、恵が、生徒と山中の間へ体を割り込ませる。
「三年生にとっては、これが、高校生活最後の文化祭です。
みんなで最高の思い出を作って欲しい。
大丈夫です。
私の生徒達は、キチンと気持ちの入れ替えが出来ます。
イベントはしっかり楽しんで、
一方、勉強するとなれば、集中してやれる子達です。
ご心配ありがとうございます」
胸を張り、生徒達を守るように、恵は山中に言い放つ。
「そう出来れば苦労しませんよ、若月先生」
そんな恵に深くため息をついて、山中はそれ以上何も言わなかった。
その時だった。