さよなら、センセイ
「あっ」
お祭りの雰囲気に気分が盛り上がっていたのだろう、ふざけていた生徒が山中にぶつかった。
「すんません、山中先生」
「お前ら、気をつけろよ!」
生徒がぶつかった勢いで山中の体も何かに当たった気がしたが、
まずは、ぶつかってきた生徒を叱る。
「…!」
「めぐみ先生⁉︎
大丈夫⁉︎」
一番に気づいたのは恵のすぐ後ろにいた綺羅だった。
生徒に突き飛ばされた山中の体は恵に当たって、
恵はバランスを崩してよろけた。
よろけた先には屋台があった。
屋台に倒れるわけにはいかない。
だから、無理に体をよじってコンクリートに倒れたのだ。
「若月先生?す…すみません、大丈夫ですか⁉︎」
「あはは…転んじゃいました。
生徒の前で恥ずかしいわ」
照れ笑いを浮かべて立ち上がろうとすると、ひねった足と、体をかばって慌てて地面についた左手に痛みが走る。
「先生?
痛いんじゃないですか?」
すぐに駆け寄ったヒロが恵の足首を触る。
「丹下くん、さ…触らないで、痛い」
「捻挫かな。
保健室運ぼう。綺羅、手伝ってくれ。
後の奴らはここの後片付けをよろしくな。
先生、歩ける?」
テキパキと指示を飛ばし、ヒロは綺羅と恵の体を起こす。
「丹下、手伝うよ。
肩を貸すから、2人で保健室へ運ぼう」
「いいよ、山中先生。もう、戻れよ」
ヒロはそう言うと、恵をゆっくり立たせた。
だが、痛みで、うまく立てない。
「ほら、丹下。お前らだけじゃ、無理だ」
山中はよろける恵に手を差し伸べる。
「触んな」
驚くほど、低く冷たいヒロの声。
その場の全員が寒気を感じるほどに、怒りを含んだ声。
山中の手を払うとヒロはしゃがみこんだ。
「おぶるから、綺羅、先生を俺の背中に」
「た…丹下くん!大丈夫だよ、そんな、生徒におぶってもらうなんて…」
「めぐみ先生、遠慮しない。
ほら、早く保健室、行こ?」
綺羅に助けられながら、恵はそっとヒロの背中に体を預ける。
ヒロが恵をおぶる。
生徒が教師をおぶるだけで目立つが、気にも止めずにヒロは保健室に向かって歩き出した。
お祭りの雰囲気に気分が盛り上がっていたのだろう、ふざけていた生徒が山中にぶつかった。
「すんません、山中先生」
「お前ら、気をつけろよ!」
生徒がぶつかった勢いで山中の体も何かに当たった気がしたが、
まずは、ぶつかってきた生徒を叱る。
「…!」
「めぐみ先生⁉︎
大丈夫⁉︎」
一番に気づいたのは恵のすぐ後ろにいた綺羅だった。
生徒に突き飛ばされた山中の体は恵に当たって、
恵はバランスを崩してよろけた。
よろけた先には屋台があった。
屋台に倒れるわけにはいかない。
だから、無理に体をよじってコンクリートに倒れたのだ。
「若月先生?す…すみません、大丈夫ですか⁉︎」
「あはは…転んじゃいました。
生徒の前で恥ずかしいわ」
照れ笑いを浮かべて立ち上がろうとすると、ひねった足と、体をかばって慌てて地面についた左手に痛みが走る。
「先生?
痛いんじゃないですか?」
すぐに駆け寄ったヒロが恵の足首を触る。
「丹下くん、さ…触らないで、痛い」
「捻挫かな。
保健室運ぼう。綺羅、手伝ってくれ。
後の奴らはここの後片付けをよろしくな。
先生、歩ける?」
テキパキと指示を飛ばし、ヒロは綺羅と恵の体を起こす。
「丹下、手伝うよ。
肩を貸すから、2人で保健室へ運ぼう」
「いいよ、山中先生。もう、戻れよ」
ヒロはそう言うと、恵をゆっくり立たせた。
だが、痛みで、うまく立てない。
「ほら、丹下。お前らだけじゃ、無理だ」
山中はよろける恵に手を差し伸べる。
「触んな」
驚くほど、低く冷たいヒロの声。
その場の全員が寒気を感じるほどに、怒りを含んだ声。
山中の手を払うとヒロはしゃがみこんだ。
「おぶるから、綺羅、先生を俺の背中に」
「た…丹下くん!大丈夫だよ、そんな、生徒におぶってもらうなんて…」
「めぐみ先生、遠慮しない。
ほら、早く保健室、行こ?」
綺羅に助けられながら、恵はそっとヒロの背中に体を預ける。
ヒロが恵をおぶる。
生徒が教師をおぶるだけで目立つが、気にも止めずにヒロは保健室に向かって歩き出した。