さよなら、センセイ
恵は、もう、全てを受け入れるつもりでいる。
だが、ヒロはまだ諦めてはいない。
二人にとっての最善は、恵一人が全てを背負う事ではないはずだから。
「そんな、簡単に諦めるな。
やれる事は、やろう。
俺は“丹下の御曹司”だぞ。こんな時くらいは親の力を借りてもいいと思わないか?」
「でも、迷惑かけたくない…」
「なに、社会に出たら何倍にもして返してやるさ。
俺たち二人にとって、最善の答えを出す為に少し協力してもらおう」
山中に叩かれた恵の頬が真っ赤に腫れて痛々しい。
それに触れないように、ヒロの唇が恵の唇を塞ぐ。もう、何も言わせない、という強い意志がそこにあった…