さよなら、センセイ
「私はね、趣味でピアノを弾くんです。
ヒロのお母様には、長いことお世話になっているんですよ」
ヒロの母親は、音大を卒業していた。息子達にもピアノを教えていたことがある、と言っていたが。
まさか、校長とピアノで繋がっていたとは。
「若月先生の採用が決まった後、丹下さんから連絡があってね。
『恵さんをくれぐれもよろしく』って。
私も教育者ですからね。まずは若月先生の仕事ぶりを見せてもらっていました。
あなたは、よくやっています。
ヒロを特別扱いすることなど全くなく、生徒達に慕われて、いつも笑顔で。
だからこそ、こんな所で終わって欲しくありません。
あと、半年の辛抱です。
丹下くん、若月先生。
守れるのは、これ一度きりですよ?」