さよなら、センセイ


「私はね、趣味でピアノを弾くんです。
ヒロのお母様には、長いことお世話になっているんですよ」


ヒロの母親は、音大を卒業していた。息子達にもピアノを教えていたことがある、と言っていたが。
まさか、校長とピアノで繋がっていたとは。


「若月先生の採用が決まった後、丹下さんから連絡があってね。
『恵さんをくれぐれもよろしく』って。

私も教育者ですからね。まずは若月先生の仕事ぶりを見せてもらっていました。

あなたは、よくやっています。
ヒロを特別扱いすることなど全くなく、生徒達に慕われて、いつも笑顔で。

だからこそ、こんな所で終わって欲しくありません。

あと、半年の辛抱です。

丹下くん、若月先生。

守れるのは、これ一度きりですよ?」



< 87 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop