さよなら、センセイ
その日の深夜。
恵の携帯が、ヒロからの着信を知らせた。
「メグ?
これからのコト、二人で話し合おう」
恵は、静かな部屋で、ヒロが気に入っていつも座るソファに一人、腰掛けた。
「あと、半年。
俺、そこには行かないから。
誰に聞かれても、メグとは付き合っていないっていうから。
メグも俺との事は何も言わないで」
ヒロの声は、ひどく落ち着いていた。
「えぇ。明日の全校集会でも、そうするつもりよ」
恵も、落ち着いて答える。
「メグの周りは、危なっかしいから、心配だな。気をつけろよ。
そばにいれないけど、電話も、メールもするし、何かあったら知らせて」
「ありがとう。
でも、ヒロは勉強に集中して?
私のことなら大丈夫だから。
第一志望に合格出来るよう、応援してるから」
「大学受かったら、一緒に暮らそうな。
バイトもする。養ってあげられるほどじゃないけど、俺、頑張るから。
だから…待ってて」
「私も、産休代替じゃなくて、正規で仕事見つけるよ。
大丈夫。
私、ヒロの進学が決まって卒業するまで、ちゃんとあなたを信じて待ってる。心配しないで」
恋人として会えないことは淋しいけれど、校内で姿を見ることはあるだろう。
全く会えないよりは、全然いい。
「ありがとう、メグ」