さよなら、センセイ
恵は口ごもる。
やり場の無い目線をふと、付けっ放しのテレビへとやった。
型は古いが、アリオン社製のテレビ。ずっと家にあったのに、気づかなかった。
こんな田舎にまで浸透している程の大会社。その社長の息子と付き合っているなんて、きっと、信じてもらえない。
「私、まだ23だし、やっと教師になれたし、結婚なんて…」
「わしは18で父ちゃんと一緒になった。23いうたら、もう、恵を産んでた歳じゃ。
それとも、わしらに会わせとうない訳でもあるんか?」
18。今のヒロと同じ歳。恵は畑の土にまみれて薄汚れている両親を見た。
偶然だが、両親は5歳歳が離れている。性別こそ逆だが、今の恵とヒロの年齢の時に見合いで一緒になったと聞いている。
そう、ここで大事なのは、男が23歳で女が18歳だった、ということ。
しかも、父は農業で既に生計を立てていた。
「わかった、今度、聞いてみるね」
恵は一旦、そこで話を切った。実家はいまだに携帯の電波の圏外。ヒロとはもう、一週間声をきいていない。
今年は受験生だ。会社主催のパーティー等もなるべく控えて勉強すると言っていた。
恵が実家にいるとなれば、雑念なく集中して勉強が出来ているに違いない。
やり場の無い目線をふと、付けっ放しのテレビへとやった。
型は古いが、アリオン社製のテレビ。ずっと家にあったのに、気づかなかった。
こんな田舎にまで浸透している程の大会社。その社長の息子と付き合っているなんて、きっと、信じてもらえない。
「私、まだ23だし、やっと教師になれたし、結婚なんて…」
「わしは18で父ちゃんと一緒になった。23いうたら、もう、恵を産んでた歳じゃ。
それとも、わしらに会わせとうない訳でもあるんか?」
18。今のヒロと同じ歳。恵は畑の土にまみれて薄汚れている両親を見た。
偶然だが、両親は5歳歳が離れている。性別こそ逆だが、今の恵とヒロの年齢の時に見合いで一緒になったと聞いている。
そう、ここで大事なのは、男が23歳で女が18歳だった、ということ。
しかも、父は農業で既に生計を立てていた。
「わかった、今度、聞いてみるね」
恵は一旦、そこで話を切った。実家はいまだに携帯の電波の圏外。ヒロとはもう、一週間声をきいていない。
今年は受験生だ。会社主催のパーティー等もなるべく控えて勉強すると言っていた。
恵が実家にいるとなれば、雑念なく集中して勉強が出来ているに違いない。