何度でも、君に恋をする
生まれたての赤ちゃんでもないのに、私の記憶はお腹から出てきたばかりのような真っさらな状態だった。


胸が苦しい。切ない。泣きたくて仕方なくなる。



「奈津ー、そろそろ時間よー?起きてー」


扉の向こうから、そんな声が聞こえてきてコンコンとノックの音がした。

それに反応する間もなく、開けられた扉からエプロンを着た女の人が入ってくる。


この人は……私のお母さんかな……?


それ以外にありえないような気もするけれど、知らない顔なのに変わりはないのでベッドに座ったまま、警戒心を働かせた。


そんな私の様子に気づいてか、彼女ははっとしたような表情で、私の顔を覗き込む。
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