何度でも、君に恋をする
……ていうか、私はどうしてこんなことになってるんだろう。


ここは紛れもなく自宅だし、外傷を負っているわけでもないのに、記憶喪失なんて異常だ。

まだ、病院で点滴に繋がれているというのなら納得はできるけれど、今の状況はそこら中にありふれた朝でしかない。


んー……と難しい顔をしている私の思いを察したのか、母は「不思議に思ってるんでしょ、なんで記憶喪失になってるのか」と微笑む。


素直に首を縦に振った私は、布団から這い出ると彼女の前に立った。


まだ、“お母さん”というには頭が追いついていないものの、この人が母親だということは身体が察知している気がした。

……これも細胞かなにかの記憶だろうか。
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