6年前の君へ
1人、夕日の指す校舎へと向かい教室のドアを開ける。ピアノが存在を主張する音楽室。
そっとドアを閉めて携帯を取り出す
音楽を再生し口ずさむ。
ピアノが弾けたならきっともっと楽しいのに
そんなことを思いつつも少しピアノを触ることに抵抗があった。
「歌。上手だね」
そんな声がドアの方から聞こえてきて
我に返った。
歌うことに集中していて気づかなかった
男の子がドアをそっと閉めそういった
「ごめんね、盗み聞きするつもりは無かったんだけどね、誰が歌ってるのか気になって」
「僕がピアノを弾くから歌ってよ」
そう言ってピアノの鍵盤に触れ弾き始めた
歌うつもりなんて無かったのに
何故か口が動いた
あまりに綺麗な音色だったから。