ようこそ、不思議の国へ
17年前、ファンタジアにある小さな家に1人の男の子が生まれた。
金髪に青い瞳を持った男の子はアリスと名付けられ、両親に可愛がれている――という暖かな結果ではなかった。
アリスの両親は、すぐにファンタジアから抜け出し、今のアリスが暮らす世界(ユートピアという)にアリスを捨てた。
それに気が付いた、かつてユートピアで暮らしていたマーリンは、アリスを拾うと自分の家でアリスの子育てを始める。
やがて、12歳にまで成長したアリスはマーリンから教えてもらった魔法で遊んでいた。それをマーリンは微笑ましく見つめる。そして、ある決断をした。
「お父さん!見て見て~!上手く使えた!」
マーリンを実の父だと思っているアリスは、マーリンに無邪気な笑顔を見せた。
「上手になったね。アリス、大事な話があるんだ…こっちに来て」
「分かった」
アリスは、マーリンから衝撃的な話をされることを知らずにマーリンの後をついてリビングに入った。
「……お父さん。話って?」
アリスは微笑んで問いかける。マーリンは重い口を開いた。
「…もうアリスも大きくなった。だから、もう話しておこうと思う…俺は、アリスの実の父親じゃない」