お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
潜入! オルコット邸
*
それから、ロザリーはカイラの話し相手をしながら、日々を過ごしていた。
一応毒見として先に食事のチェックはしているが、特におかしなこともなく、イートン伯爵邸にいるときよりも穏やかで平和な日常を送っていた。
ザックとケネスは毎日のようにやって来る。とはいえ、彼らには執務もあり、訪れる時間は主に夕方から夜にかけてだ。
時間短縮も兼ね、一緒に夕食を取るということで調整してある。
ザックが来る前の一時間は、女性二人の身だしなみチェックだ。
ロザリーはカイラに習って、髪を結う練習をしている。
「どうですか? できてます?」
「少し曲がったかしら。でもこうすれば平気よ」
カイラは編み込んだ毛先をくるりと内側に丸め込み、引き出しから髪飾りを取り出し、つけてくれた。一気に華やかな印象になる。
「ほら、どう? 可愛いわ」
「ありがとうございます! カイラ様。髪飾りまで貸していただいて」
「いいのよ。あなたを可愛くしておくとアイザックが喜ぶんだもの。……ちょっとホッとしているの。あなたといるときのアイザックは、昔みたいに素直で穏やかで。あなたのような素朴な子を選んでくれて、嬉しかった。でもその反面心配もしているのよ。あなたは私のように、王宮になじめないんじゃないかと思って」
「私がですか?」
カイラは目を伏せ、苦笑を浮かべる。唇に添えられた指が、小さく震えていた。
それから、ロザリーはカイラの話し相手をしながら、日々を過ごしていた。
一応毒見として先に食事のチェックはしているが、特におかしなこともなく、イートン伯爵邸にいるときよりも穏やかで平和な日常を送っていた。
ザックとケネスは毎日のようにやって来る。とはいえ、彼らには執務もあり、訪れる時間は主に夕方から夜にかけてだ。
時間短縮も兼ね、一緒に夕食を取るということで調整してある。
ザックが来る前の一時間は、女性二人の身だしなみチェックだ。
ロザリーはカイラに習って、髪を結う練習をしている。
「どうですか? できてます?」
「少し曲がったかしら。でもこうすれば平気よ」
カイラは編み込んだ毛先をくるりと内側に丸め込み、引き出しから髪飾りを取り出し、つけてくれた。一気に華やかな印象になる。
「ほら、どう? 可愛いわ」
「ありがとうございます! カイラ様。髪飾りまで貸していただいて」
「いいのよ。あなたを可愛くしておくとアイザックが喜ぶんだもの。……ちょっとホッとしているの。あなたといるときのアイザックは、昔みたいに素直で穏やかで。あなたのような素朴な子を選んでくれて、嬉しかった。でもその反面心配もしているのよ。あなたは私のように、王宮になじめないんじゃないかと思って」
「私がですか?」
カイラは目を伏せ、苦笑を浮かべる。唇に添えられた指が、小さく震えていた。