お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
前菜から順番に出てくる食事を、食べ始める。この夕食はロザリーにマナーを教える場でもあるので、王城の作法にのっとったやり方が、カイラとザックから教えられるのだ。
「ところでロザリー、オルコット邸に行く日が決まったんだ。ディラン教授の都合で三日後になった。朝に迎えに来るから、ロザリーは用意して待っていてくれ」
「分かりました」
ディラン先生とオルコット家との調停に動いていたのはケネスらしく、「子爵はなかなかガードが堅い人なんだよね。オードリーと直接話させてもらおうと思ったんだけど、結局ここまで話せずじまいだったんだ。俺でさえこうなんだから、レイモンドが会えないのも頷けるな」
ヤキモキしているだろうレイモンドのことを思うととても気の毒だ。
早く幸せになってほしいのに。
会話するロザリーたちを穏やかに眺めていたカイラに、ふいにザックが問いかける。
「そういえば、……母上は最近、父上と会ったことはありますか?」
「いいえ?」
「最近、離宮に通っているようだな……と珍しく声をかけられまして。……べつに内緒にしているわけでもありませんが、言いふらしているわけでもないので、なぜ知られているのか気になりましてね」
「陛下が、気にしてらしたの?」
「ええ。最近政務にも興味がない様子なのに珍しいなと思いましてね」
「ところでロザリー、オルコット邸に行く日が決まったんだ。ディラン教授の都合で三日後になった。朝に迎えに来るから、ロザリーは用意して待っていてくれ」
「分かりました」
ディラン先生とオルコット家との調停に動いていたのはケネスらしく、「子爵はなかなかガードが堅い人なんだよね。オードリーと直接話させてもらおうと思ったんだけど、結局ここまで話せずじまいだったんだ。俺でさえこうなんだから、レイモンドが会えないのも頷けるな」
ヤキモキしているだろうレイモンドのことを思うととても気の毒だ。
早く幸せになってほしいのに。
会話するロザリーたちを穏やかに眺めていたカイラに、ふいにザックが問いかける。
「そういえば、……母上は最近、父上と会ったことはありますか?」
「いいえ?」
「最近、離宮に通っているようだな……と珍しく声をかけられまして。……べつに内緒にしているわけでもありませんが、言いふらしているわけでもないので、なぜ知られているのか気になりましてね」
「陛下が、気にしてらしたの?」
「ええ。最近政務にも興味がない様子なのに珍しいなと思いましてね」