お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
*
久しぶりにオードリーを見て、ロザリーは驚いてしまった。
もともと、それほどオードリーと懇意にしていたわけではないが、それにしても以前よりずっと生気が失われているような気がしたのだ。
書庫へと移動している間、オルコット子爵の相手はずっとザックとケネスがしている。
ロザリーはディラン先生とともに後ろをついて行った。もちろん、その間に子爵家の観察も忘れない。
子爵家は広い敷地を持っていた。玄関ホールから右手側にかつてのオードリーの夫の書斎があり、その奥に壁一面に本棚がある書庫があった。
ロザリーはクリスのにおいを探したが、今のところは残り香といった弱いものしか感じられない。
「今日お伺いしたのは、鉱物について調べたかったからです。先日、造幣局で見た鉱物が気になりましてね」
「鉱物に関する書物はこちらです。この国で発見されたもの、発見場所、性質等の記載があります。でも、量は膨大ですから、調べたいものを具体的におっしゃっていただいたほうが見つけるのは早いと思いますが。……ディラン先生もいらっしゃるなら、毒物関係ですか?」
水を向けられて、ディラン先生は髭を撫でつけながら、「さすがはオルコット夫人ですな。察しがいい」とほほ笑む。
オルコット子爵は、話が具体的になってくるとチンプンカンプンのようで、居心地が悪くなってきたらしい。
久しぶりにオードリーを見て、ロザリーは驚いてしまった。
もともと、それほどオードリーと懇意にしていたわけではないが、それにしても以前よりずっと生気が失われているような気がしたのだ。
書庫へと移動している間、オルコット子爵の相手はずっとザックとケネスがしている。
ロザリーはディラン先生とともに後ろをついて行った。もちろん、その間に子爵家の観察も忘れない。
子爵家は広い敷地を持っていた。玄関ホールから右手側にかつてのオードリーの夫の書斎があり、その奥に壁一面に本棚がある書庫があった。
ロザリーはクリスのにおいを探したが、今のところは残り香といった弱いものしか感じられない。
「今日お伺いしたのは、鉱物について調べたかったからです。先日、造幣局で見た鉱物が気になりましてね」
「鉱物に関する書物はこちらです。この国で発見されたもの、発見場所、性質等の記載があります。でも、量は膨大ですから、調べたいものを具体的におっしゃっていただいたほうが見つけるのは早いと思いますが。……ディラン先生もいらっしゃるなら、毒物関係ですか?」
水を向けられて、ディラン先生は髭を撫でつけながら、「さすがはオルコット夫人ですな。察しがいい」とほほ笑む。
オルコット子爵は、話が具体的になってくるとチンプンカンプンのようで、居心地が悪くなってきたらしい。