お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
「オードリー、しばらく任せる。アイザック王子、調べ物が終わりましたら、ぜひ休憩していってください。舶来のお茶をご用意しております」
「これは、お気遣いありがとうございます」
ザックは笑顔で答え、出ていく子爵を見送った。
そして振り向いたときには、いたずらっ子のような顔をしていた。
「さて。少しざっくばらんに話そうか。オードリー殿」
「ザック様、ケネス様、それにロザリーさん。一体どうしたんですか?」
「オードリーさん、私だけじゃありません。本当はレイモンドさんもいるんです。レイモンドさん、オードリーさんに会うために今王都に居るんですよ!」
ロザリーの言葉に、オードリーは瞬きをした。
「嘘……、だって、レイモンドには切り株亭が」
「本当です。話せば長くなりますが……」
ロザリーは一気に事の顛末を説明しようとしたが、あまり説明が上手じゃないため、聞いている方には支離滅裂に聞こえる。
結局、ケネスが間に入り、ザックが本当は第二王子のアイザックであること、いろいろあって王都に戻ってきた後、その後レイモンドはオードリーを、ロザリーはザックを追って、王都まで来たことを説明した。
「レイモンドさんは、毎日のようにオルコット邸を訪れているんです。でも、オードリーさんには会わせてもらえないって」
「本当に?」
オードリーの胸に、熱いものが沸き上がる。
それと同時に、諦めそうになっていた自分を悔やんだ。レイモンドが切り株亭を人に任せてまで迎えに来てくれたというのに、自分は籠の中で何をしているのか。