お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
「なるほど。ロザリンド様は本当にカイラ様と仲がよろしいのですね」
「私はカイラ様が大好きです。カイラ様もそうなら、嬉しいですけど」
「カイラ様もきっとそうでしょう。あなたが来てから、夜中の徘徊もずっと少なくなったし、何よりも明るくなられました」
ウィンズの答えに、ロザリーは微笑んだ。
そして彼の教えを受けながら、簡単な剪定方法を学んでいく。
地植えの作物はそこまで気にする必要はないが、水は土が乾いていたらやること。
花芽はバランスを考え、早いうちに育てるものを決め、残りは摘んでやること。
(バランスかぁ……。そうだよね。最も育つものに栄養をまわしたほうが、より美しく咲く)
真理だ。そう思うのに、どこか引っかかる。
心が定まらない。頭の中に、さまざまな可能性が浮かんでは消えていく。
(……早く、ザック様来ないかな。そうしたら相談できるのに)
待っている時間というのは、どうしてこんなに長いのだろう。
寂しくなりながらロザリーは門の方を見つめた。