お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。


それからロザリーは侍女のライザに頼んで、カイラの体調が思わしくないという報告をするようにと頼んだ。
ライザは怪訝な顔をしつつも、ロザリーの真剣な様子に一芝居請け負ってくれた。

陛下への連絡は、侍女とウィンズの間で行われているらしい。

「カイラ様へのご寵愛は内緒にされるべきだと陛下は考えておられます。ですから、一見イートン伯爵だけが後見人として屋敷の管理を担っていると思わせているのです」

ライザがため息とともに言う。
イートン伯爵は陛下の信頼にこたえているのだろう。ザックにもケネスにもここが陛下に指示によって守られているなんてことは知られていない。

そして今日、ライザからこっそりと今日の夜中に陛下が来ると聞いたロザリーは、昼間のうちにザックを呼び出す手紙を書いたのだ。
その際、イートン伯爵には知られないようにカモフラージュしてきてほしいとお願いもしてある。
ザックはケネスに頼んで、急遽一泊の予定で東のアゼリア湖畔に向かうことになったと報告を流してもらった。ケネスとザックが乳兄弟の間柄なのは皆が知っているので、彼らが親密に行動を共にすること自体に疑問を抱く人間はいない。
カモフラージュ的にケネスだけが湖畔に向かっていて、それを聞いたロザリーは少しばかり申し訳ない気になった。
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