お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。


 夜もずいぶん深まったころだ。物音に、ロザリーは目を開けた。どうやらうとうととしていたらしい。
ライザとザックはずっと起きていたようだ。起きるなり、ライザから「しっ」と人差し指を立てられる。

ロザリーは両手で口を押さえ、【しゃべりません!】とアピールしてから窓の外をのぞき込む。
以前も見たように、内庭を整えるナサニエル陛下とウィンズがいる。

チラリとザックを横目で見ると、彼は信じられないとでもいうように険しいまなざしを向けていた。だがすぐに、ロザリーの視線に気づき、表情を緩める。

「……行ってみましょう?」

「ロザリー」

「ザック様と陛下は、もっとわかり合うことが必要だと思うんです。目的は同じなんですもん。ふたりとも、カイラ様を守りたいだけじゃないですか」

彼女の安全を守るために、敢えて寵を失ったように見せかけて自ら離れた夫と、彼女への攻撃材料を減らすために、全てを自分で出来るようになった息子。

思えば、ふたりはやっていることがよく似ている。

「でもカイラ様を守るのに最も効果的なのは巻き込むことだと思いませんか? 一緒に戦えばいいんです。カイラ様はそこまで弱い人ではありません」

ロザリーも、そうだ。
危険だからと突き放されていた間、不安でしかなかった。
一緒に戦っている今の方が、大変かもしれないが心は安らいでいる。
< 226 / 249 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop