お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
不穏な手紙
朝から大忙しの切り株亭にその郵便が届けられたのは、ザックが王都に戻ってひと月ほどたってからだ。
郵便配達人を見つけたロザリーは、飛び上がるほど喜んで彼を迎えた。
ザックが王都に行ってから、週に一度は手紙が届く。時にはロザリーの返事より早い事さえあって、意外に筆まめなことに驚いた。そろそろこの間の返事が届くはず……と思っていたので楽しみに待っていたのだ。
しかし手紙を受け取り、ロザリーは誰の目にも明らかなほど元気を失っていた。
それはロザリー宛の手紙ではなかったのだ。差出人はオードリー・オルコット。受取人がレイモンドだ。
「……レイモンドさんにですぅ」
「オードリーから?」
レイモンドは、普段はあまり恋愛感情を顔に出すタイプではない。しかし今回はひと月ぶりの手紙とあって、手紙を受け取った瞬間、顔をほころばせた。
羨ましい気持ちも寂しい気持ちももちろんあったが、情けない顔をしてはレイモンドが気にしてしまう。
ロザリーは気を取り直して、レイモンドに笑顔を向けた。
「クリスさんからのお手紙があったら私にも見せてくださいね」
オードリーの娘であるクリスとは年の差はあれど友達だ。
「ああ、もちろん。……あれ」
勢いよく手紙を確認していたレイモンドから、急速に元気が失われていく。最後には顔色まで悪くなっていた。
ロザリーは心配になってレイモンドを見上げる。
郵便配達人を見つけたロザリーは、飛び上がるほど喜んで彼を迎えた。
ザックが王都に行ってから、週に一度は手紙が届く。時にはロザリーの返事より早い事さえあって、意外に筆まめなことに驚いた。そろそろこの間の返事が届くはず……と思っていたので楽しみに待っていたのだ。
しかし手紙を受け取り、ロザリーは誰の目にも明らかなほど元気を失っていた。
それはロザリー宛の手紙ではなかったのだ。差出人はオードリー・オルコット。受取人がレイモンドだ。
「……レイモンドさんにですぅ」
「オードリーから?」
レイモンドは、普段はあまり恋愛感情を顔に出すタイプではない。しかし今回はひと月ぶりの手紙とあって、手紙を受け取った瞬間、顔をほころばせた。
羨ましい気持ちも寂しい気持ちももちろんあったが、情けない顔をしてはレイモンドが気にしてしまう。
ロザリーは気を取り直して、レイモンドに笑顔を向けた。
「クリスさんからのお手紙があったら私にも見せてくださいね」
オードリーの娘であるクリスとは年の差はあれど友達だ。
「ああ、もちろん。……あれ」
勢いよく手紙を確認していたレイモンドから、急速に元気が失われていく。最後には顔色まで悪くなっていた。
ロザリーは心配になってレイモンドを見上げる。