お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
王都からの珍客
イートン伯爵領アイビーヒルの老舗旅館・切り株亭は、今日も食堂目当ての客でにぎわっている。
ロザリーは今まさに食堂担当で、大忙しで動き回っている。白いエプロンがひらひらとはためいて、ふわふわの金髪と相まって彼女の周りだけ重力が軽そうだ。
「ロザリーちゃん、こっち注文」
「はぁい!」
既にロザリーの名は失せもの捜しの令嬢として、街中に知れ渡っている。食堂の客に名指しで呼ばれて慌てて向かう。
「森の恵みのシチューと、石釜パンですね」
「もりもりサラダもつけて」
「はい!」
レイモンドの絶品料理のおかげで、宿に空き室はあっても、食堂は大盛況。従業員は休み間もなく大忙しだ。
そんなお昼のピーク真っただ中に、男性のふたり組が入ってきた。
「失せもの探しのお嬢さんがいるってぇ宿はここかい?」
ロザリーはぱちくりと瞬きをして、レイモンドに視線を投げる。
「合ってるよ。合ってるけど、今忙しいんだ。失せもの捜しをしている暇はない。お客さん、悪いけど、ちょっと座って待っていてくれないか」
レイモンドが答えている間も、ロザリーは客の間を行ったり来たりだ。
ふたり組の男たちは顔を見合わせ、「そうだな。じゃあ昼飯でもいただこうか」と席に着く。
どちらも二十代と思しき青年だ。ひとりはおでこが見えるほどの短い茶髪で、もうひとりが金髪のサラサラ髪を結っている。旅姿ではあるが、しっかりした体格から、それなりに鍛えた人物であることはうかがえる。
ロザリーは今まさに食堂担当で、大忙しで動き回っている。白いエプロンがひらひらとはためいて、ふわふわの金髪と相まって彼女の周りだけ重力が軽そうだ。
「ロザリーちゃん、こっち注文」
「はぁい!」
既にロザリーの名は失せもの捜しの令嬢として、街中に知れ渡っている。食堂の客に名指しで呼ばれて慌てて向かう。
「森の恵みのシチューと、石釜パンですね」
「もりもりサラダもつけて」
「はい!」
レイモンドの絶品料理のおかげで、宿に空き室はあっても、食堂は大盛況。従業員は休み間もなく大忙しだ。
そんなお昼のピーク真っただ中に、男性のふたり組が入ってきた。
「失せもの探しのお嬢さんがいるってぇ宿はここかい?」
ロザリーはぱちくりと瞬きをして、レイモンドに視線を投げる。
「合ってるよ。合ってるけど、今忙しいんだ。失せもの捜しをしている暇はない。お客さん、悪いけど、ちょっと座って待っていてくれないか」
レイモンドが答えている間も、ロザリーは客の間を行ったり来たりだ。
ふたり組の男たちは顔を見合わせ、「そうだな。じゃあ昼飯でもいただこうか」と席に着く。
どちらも二十代と思しき青年だ。ひとりはおでこが見えるほどの短い茶髪で、もうひとりが金髪のサラサラ髪を結っている。旅姿ではあるが、しっかりした体格から、それなりに鍛えた人物であることはうかがえる。