お宿の看板娘でしたが、王妃様の毒見係はじめます。
「それはもちろんですけど。そんなにザック様の周りは危険なんですか?」
「……口止めされてるから、詳しくは言えないけど。安全ではないね」
「そうなんですか」
ロザリーは、長身の王子様を思い出す。
アイビーヒルにいたときはよく笑ってくれた彼だったが、今はどうしているのだろう。
あんなに細めにくれた手紙を止めるくらい、危険を感じているのなら何とかして助けになりたい。
「ケネス様、ありがとうございます」
「お礼を言われる筋合いはないよ。言っただろう。俺に都合がいいからそうしていると」
「嬉しいからお礼してるんです。ザック様の危機を知らないままアイビーヒルでのほほんとしていたら、あとで絶対後悔したと思うから」
ケネスとロザリーは目を見交わし、笑い出す。
「俺たちは、ザックのことに関しては気が合うね。君とは良い友情が築けると思ってるよ」
「私もです!」
ザックを守るのに、ひとりじゃないというのも心強い。ロザリーひとりでは、どう動くことがザックの助けになるのか分からないが、ケネスがいてくれれば安心だと思えた。