偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
「ま、真史さん?」
何か私、真史さんを怒らせるようなことを言っただろうか。
自分の発言を少し辿ってみたけれど、真史さんの気分を損ねるようなことは言ってないと思うけど……。
「真史さん、何か怒ってます?」
わからないから仕方がないと、お伺いを立ててみる。が、表情は変わらないどころか、眉間のシワが深くなってしまった。
「本当に俺が、他の女性とここに来ていいのか?」
「はあ!? それ、どういう意味ですか?」
「俺が他の女と永遠の愛を誓ってもいいのかと聞いてるんだ」
真史さんの、攻めたてるような言い方にカチンとくる。
私と真史さんは本当の恋人じゃない。だから本心じゃないけれど、ああ言うしかなかった。そのくらいわかりそうなものなのに、どうして私がそんなことを言われなくちゃいけないの?
まったくもって、意味がわからない。
「いいも悪いも。ここは恋人たちの聖地ですよ? そんなところで偽装恋愛している私と、永遠の愛を誓ってもいいんですか?」
「いいと思ってるから、南京錠を持ってきたまでだ」
「だから、それがおかしいと言ってるんです! 人の気も知らないで……」
興奮して、つい本音が漏れてしまう。