偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
「フロアの自分のデスクですけど。朝ごはん食べるの忘れたので、クッキー食べてきます」
あ~面倒くさい。
私がどこに行こうと何をしようと、逢坂社長には関係ないじゃない。いちいち小姑みたいにうるさいんだから。
顔は見ないまま逢坂社長に頭を下げると、キッチンを出る。
今日の私と逢坂社長は敵同士。これっぽっちだって馴れ合うつもりはない。
同じ会社の社長と従業員なんだから敵というのは少し言いすぎかもしれないけれど、それぐらいの気持ちで挑むっていうこと。
「こんな朝っぱらから、なんで社長がここに来るわけ?」
今日が何店かの店長を呼んでの試食会だということは、彼も知っているはず。もともとはメニュー開発事業部の部長だったから、気になるのはわかるけれど。
社長になってからは一度だって、こんな時間に来たことなかったのに……。