偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

 車を走らせること二十分。店に到着すると思っていたとおりまだ店内は混雑していなくて、すぐ席に通される。海が見渡せる窓側の席で、真史さんと向かい合って座った。

 そこからの海の眺めは最高で、しばしその景色を堪能する。

「腹、減ってるよな。なんでも好きなものを頼んでいいぞ」

「なんでも……」

 と言われて目線をテーブルに戻し、おもむろにメニュー表を開く。そこに書いている値段に、思わず目を見張った。

 た、高い……。

 いや、このメニュー表に載っている定食やコースの品数を見れば、うんとお安いのだろう。けれど如何せん、あまり外食をしない私にとっては、この金額は未知の世界。『好きなものを頼んでいいぞ』と言われても、本当の彼女でもない私が『はい、ありがとうございます』と両手放しで甘えるわけにはいかない。

 お財布に、いくら入っていただろう──。

 とは思っても、今ここで財布の中を見るわけにはいかない。昨日ちゃんと確認しておけばよかった。


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