偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
「お、面白いとか、頭の中を見てみたいって。そんな変人みたいな扱いやめてください」
しどろもどろになりながら、小さく俯いた。
「変人だとは思ってない。見てて飽きないと思っただけ、褒め言葉だ」
褒め言葉と言われても、なんだか嬉しくない。でも真史さんのことを放っていた私は、文句も言えない。
「違う店も見てみるか?」
「はい」
返事をすると真史さんは、さり気なくすっと私の手を取った。
「休日で人が多いからな。はぐれるなよ」
振り返る顔は優しい。一本一本指を絡ませられると、自分が恋人扱いされていることにキュンと胸が疼いた。
こんなのズルい。好きな気持ちが溢れ出て、止まらなくなってしまう。
この恋を偽装なんかで終わらせたくない。ずっと真史さんと一緒にいたい。こんな欲張りな自分が私の中にいたなんて……。
絡ませられた指に力を込め、『この恋が実ればいいのに……』そう思わずにはいられなかった。