偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
「もしかして、『今日は帰らなくてもいいわよ』とか、母親に言われたか?」
はあ!? なんでそれを知ってるの!
聞き捨てならない言葉に、自分の顔色のことも忘れて振り返る。
「朝の母との会話、聞いてたんですか?」
「なんだ、本当だったのか? 車の中で待ってたんだ、聞いてるはずないだろう。感だよ、感」
耳朶をキュッと抓まれて、再度頬を膨らませた。
「何するんですか!?」
「顔も真っ赤、耳まで赤くなるなんて。朱里が今何を考えてたのか、当ててやろうか?」
意地悪な口調でそう言われ、思わず感情に任せて声を張り上げてしまう。
「い、いいですよ! そんなこと当てなくても! もう、真史さんなんて知らないっ!!」
そんな私の反応を見て笑っている真史さんに、再度背を向けたのは言うまでもない。