偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
「仕事でもなんでも、真っ直ぐで素直だよな。寂しいかと俺から聞いたのに、そんな顔されると、どうしていいのかわからなくなるよ」
どういう意味なのだろう。でもやっぱり困らせたんだと、後悔ばかりが押し寄せてきた。
「ごめんなさい……」
恋愛経験のなさがこんな空気を作ってしまうんだと、情けなくなってくる。
消え入りそうな声で謝ると、音もなくふわっと上げられた右手が私の頬に触れた。驚きと恥ずかしさから、顔が上げられない。
「俺はお前に、謝らせてばかりだな」
「そんな。私がダメだから謝ってるだけで、真史さんのせいじゃ……っ」
勢いよく顔を上げると真史さんの顔が目の前にあって、次の言葉を飲み込む。もしかしてこれは……と思った瞬間、唇が塞がれた。優しく触れるだけのスイートなキスに、身も心も溶けていく。唇を離し至近距離で見つめる真史さんの目は、いつにもなく妖艶で目が離せない。しばらく真史さんの目を見つめていると、どちらからともなく再び唇が重なった。
真史さんの腕が背中に回り、ギュッと抱きすくめられる。それと同時にキスも深くなり、無意識のうちに開いた唇から彼の舌が差し込まれた。はじめての行為に、体がびくりと震えた。