偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
「麗華さんの質問に答えないさいよ! 何黙ってるの!」
そんな私の態度にしびれを切らしたのか、私を呼びに来たお付きの女性はかなりご立腹の様子。
そんな風に怒られても、答えられないものは答えられないんだからしょうがないじゃない。できることなら私だってこんな話はさっさと終わらせて、一分一秒でも早くこの場から立ち去りたいわよ!
心の中では強気なことも言えるのに、いざ口を開こうとすると弱い自分が顔を出す。
「私その日、家族で出かけていて。市場で偶然、逢坂社長と高坂さんを見かけたのよね」
もうひとりの女性がスマホを取り出し、それを三浦さんに手渡す。彼女はそれを見て呆れたように大きく息を吐くと、スマホの画面を私の方へと向けた。
「仲良く手を繋いでいるように見えるけど、これは一体どういうこと?」
そこには笑顔で手を繋ぐ、真史さんと私が写っていた。
まさかの写真登場とか、状況証拠バッチリじゃない……万事休す。ゴールデンウィーク中の店内は人で溢れていて、写真が撮られたことに全く気づかなかった。こんな証拠が残っていたとは、世の中どこにいても気が抜けないのね。
でもこうなった以上、ふたりで海へ行ったことは認めざるを得ないか──と、仕方なく重たい口を開いた。