偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
さっきだってそう。自分のミスに動揺して頭の中が真っ白になるなんて、責任者として失格。自分が犯したミスだからこそ、自分でカバーしなくちゃいけないのに……。
事務スペースに戻ると、真史さんの顔が脳裏に浮かぶ。
でもホント、真史さんがいてくれてよかった。私だけではきっと、どうにもできなかったと思うから。
真史さんはどんなときでも、従業員のことを考えて行動してくれる。きっと今回のミスが私じゃなかったとしても、真史さんは同じように動いたはず。だからこそみんなから慕われて、愛されている。若くして社長になるのも当然だ。
本当に素敵な人だと思います──。
さっき店長に言った、自分の言葉を思い出す。あのときは何の気なしに言ったつもりだったけれど、やっぱり私は真史さんのことが好き。心の中での彼の存在は日に日に大きくなっていって、今や収まりきれそうにない。もう自分の気持ちは誤魔化せない、そのことが今回の件でよくわかった。
自分の真史さんへの想いの深さを確信する。
初めて恋が玉砕することは百も承知。それでも今の真史さんに対する気持ちを、正直な想いを彼に伝えないまま終わることなんてできない。真史さんが誰と結婚するにしても、自分の本当の気持ちを彼に直接伝えたい。
そう思うと手が勝手に動き出し、真史さんにメールを送っていた。