偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

 車を走らせること四十分。到着したのは、ひときわ目立つ高級マンションの駐車場。

「えっと、ここは?」

 聞くまでもない。予想はついているが、でも一応聞いてみたりする。

「俺が住んでるマンションだ」

 そうだよね──。

 思っていた答えが返ってきて、眼の前にそびえ立つマンションを見上げた。

 まさか今日、真史さんのマンションに来ることになるとは……。

 高級マンションの凄さと思ってもみなかった展開に、膝がガタガタ震えだす。

「どうした、緊張してるのか?」

「ひゃっ!」

 なんの前触れもなく不意に腰を抱かれ、驚きすぎて悲鳴をあげてしまった。足の力が抜けその場にしゃがみ込みそうになるのを、真史さんのたくましい腕が支えてくれる。

「悪い、驚かせたか?」

「いえ。私の方こそ、大きな声を出してしまってすみません」

 なんとか自分の力でまっすぐ立ち上がり頭を下げる。何も言わない真史さんの様子が気になって、チロッと上目遣いで見上げた。何か不満でもあるのか彼の眉間にシワが寄っていて、『もしかして怒ってる?』と慌てて顔を上げた。
でも真史さんの口から出たのは、もっと驚く言葉で。



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