偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
「今やめたって、どうせ明日か明後日には同じことになるんだ。だったら今日でもいいじゃないか。何ごとも経験だ、諦めろ。それとも何か、俺に愛されるのは嫌だとでも言うのか?」
「嫌だなんて……そんなこと思ってません。でも……」
「でも、なんだ?」
真史さんが、私の髪を優しく撫でる。
「ちょっと怖いというか……」
女性なら、誰でも一度は通る道。怖いのなんて一瞬だと聞いたことがあるけれど、その一瞬が怖い。潤む瞳で真史さんを見れば、温かい双眸が私を見据えていた。
「大丈夫だ、心配するな。初日から無理強いはしない。でも今晩は帰すつもりはないから、それだけは覚悟しておくように」
返事を待たずして、真史さんは私の唇を甘美に奪う。
ふたりで過ごす甘い夜も、この先続く私たちの未来も、たった今始まったばかり。
優しくゆっくり、愛してください──。
真史さんの首に両腕を回し入れると、彼にすべてを捧げるよう、そっと目を閉じた。
Happy End