偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

「なんですかね、今の?」

 市ノ瀬くんが、不思議そうな顔をしている。

「さ、さあ。私にも何が何だか、さっぱりわからない……」

 確かに社長が言う通り、休みの日も仕事をしようと思ったよ。思ったけれど、口出して言ったわけじゃないのに、どうしてあの人が私の頭の中のことまでわかるの? しかも頭をポンッって、ちょっと気味が悪いんですけど。

 逢坂社長、謎すぎる。

「私の顔に、何か書いてある?」

 そんなことあるわけ無いとわかっていて、一応市ノ瀬くんに聞いてみる。

「いや、何も書いてないですけど」

 真面目な市ノ瀬くんはさも当たり前にそう答え、スタスタとどこかに行ってしまった。

「……だよね」

 ひとり取り残された私はポツリと呟く。社長が消えたドアを見つめると、深いため息を漏らした。





< 26 / 195 >

この作品をシェア

pagetop