偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
恥ずかしい話、二十六歳にもなって付き合った男性がひとりもいないとか、自分でもありえないと思っている。だからといって、好きになった人がいないわけではない。高校生の時には近くの男子校のバレー部員に憧れてよく応援に行っていたし、大学生の時にはバイト先の仲間と少しだけ仲良くなったりもした。
でも如何せん、奥手な私は甘い雰囲気になるとどう対処していいのかわからなくなって、最終的に相手のことを意識的に避けてしまう。相手からは脈が無いと思われて、ただの友達で終了。そんなこんなで、あっという間に二十六歳。寂しい人生を送っているわけ。
はあ……。ため息しか出てこないよ。
がっくり項垂れると、愛子さんが苦笑を漏らす。
「そんな難しく考えないで。会ってみて嫌だったら断ればいいんだし、軽い気持ちで会うだけでいいのよ」
「軽い気持ちって……」
愛子さんはそう言うけれど、はじめから断るつもりでお見合いをするなんて相手に失礼じゃない?