偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
 それにしても逢坂社長は、なんでここにいるわけ? 今日の見合い相手が私だと、社長も知らなかったとか……。

 少しだけ下げていた目線を、ちろりと上げる。瞬間目がバチッと合って息を呑んだ。

 いや、絶対知ってたよね──。

 確信に近いものを感じながらも、でもなんで?と小首をかしげた。

 相手が私と知ってこのお見合いに来たのなら、その理由が全くわからない。

 私のことが好き──なんてことは、天と地がひっくり返ってもありえないし、本気でお見合いをしに来たとも思えない。

 逢坂社長のこと。私に向かってほくそ笑むくらいだから、何か魂胆あってのことだろうけれど。

 解せない──。

 でもここは穏便に。なんとかうまく時間をやり過ごして、この場から退散しよう。うん、そうしよう。

 でもその前に、まずは腹ごしらえ。せっかくの料理だ、美味しくいただかないと。

 座卓の上に目を向けると、その違和感に眉根を寄せた。



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