偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

 不審な目で逢坂社長を見れば、私とは正反対のさわやかな表情を浮かべる彼と目が合った。

「ほ、本気なんですか?」

「もちろん本気じゃない」

 いとも簡単にそう言われ、グサッと胸に鋭い刃が突き刺さる。

 そんな人の心をえぐるような言葉、あっさり言わないでほしい。人の気も知らないで……。胸の最奥から戻ってきた恋心は、逢坂社長の心無い言葉で一瞬にして失恋という終末を迎えた。

「伯母たちには悪いが、偽装ってやつだ」

 がっくり項垂れる私に、逢坂社長は追い打ちをかける。

「偽装……」

「そう。高坂、今付き合ってる人はいるか?」

「いませんよ。いたらお見合いなんて……」

「そうだな。仕事一筋って感じのお前に、彼氏なんているわけないか。聞いた俺がバカだった」

「なっ、ななな……」

 なんてことを言うんだ、この人は!



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