偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
私にだって彼氏のひとりやふたり……いるわけないか。ちょっと見栄を張りました。でもだからって私に彼氏がいないと、逢坂社長が決めつけるのはいかがなものか。
失礼しちゃうわ、全く。
憤って鼻をフンフンさせていると、逢坂社長がブハッと笑い出す。
「やっぱり面白い奴だな、お前って」
「面白い奴って。お言葉ですが社長、私だって一応女なんです。傷つくようなこと、ズケズケ言わないでください!」
「いい意味でいってるんだ、そんなに怒るな」
なんて、逢坂社長はあっけらかんとしているけれど。面白いに、いい意味も悪い意味もないでしょ!
なんで私は、こんな人が好きなのか──わからなくなってきたよ。
少し落ち着こうと、お茶の入った湯呑に手を伸ばす。が、湯呑を手にすることはできず、代わりに逢坂社長の手に掴まってしまった。