偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
だから嫌なのよ、この目に見つめられるのは……。
勢いで百年の恋が冷めたと言っても、そんなの本心じゃない。ずっと心の奥に隠していたけれど逢坂社長への恋心は、そんな簡単に忘れられるようなものじゃない。
よし! もうこうなったら、逢坂社長のぶっ飛んだ提案に乗っかってやろうじゃないの!!どうせパッと散った恋だもの、これ以上がないのなら今を楽しむほうがよっぽどいい。
それにまかり間違って、逢坂社長が私のことを好きになる……ってこともないわけではないんじゃない?
偽りの恋が、いつしか本物の恋に──。
そんな邪な気持ちが、私の顔をニヤニヤさせる。
「なんだよ、気持ち悪い顔して」
「え? あ、すみません。ちょっと考え事をしてまして。で、なんでしたっけ?」
「お前なあ。俺の名前を呼ぶのか呼ばないのか、どっちだよ」
ああ、そうだった。社長の名前を呼ばないと、キスされるんだっけ。どちらかを選ばなきゃいかないのなら、やっぱりここは……。