偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
「こ、こんなの、約束違反です」
「まあ、そんなに目くじら立てて怒るな。いいか高坂、よく聞け」
「え? あ、はい」
何よ急に、社長モードになっちゃって。朱里と呼んだかと思えば、今度は高坂ですか。
真剣な眼差しを向ける逢坂社長に、背筋をシャキンと伸ばす。が、再度顔を近づけられて、体はフリーズ目はパチクリしてしまう。
「約束っていうものは、破るためにあるんだ。よく覚えておけ」
「は、はあ!?」
してやったりと高笑いする逢坂社長を目の前に、口をぽかんと開けて見つめる。
社長たるもの、約束は破るためにあるとか言っていいの?
呆れて開いた口が塞がらない──とはまさにこのこと。よく聞けなんて言うから何事だと思えば、真剣に聞いて損した!
この世の終わりかと言わんばかりにため息をつくと、シュッと伸びてきた手に唇を抓まれてしまう。