偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
その日の夜。
「明日から三連休かあ……」
さすがに連休も仕事では市ノ瀬くんに申し訳ないと仕事を頑張った結果、試作品は満足するものができ、試食会の日に提出する資料も無事に出来上がった。相良部長との打ち合わせも順調に済み気分は上々、連休をもぎ取ることができた。
でもせっかくのゴールデンウィークだというのに、特に出かける予定もない。仕事に集中しすぎて友達とも連絡をとっていなかったのだから自業自得、悲しいおひとりさまだ。
仕方ない。連休明けに備えて、のんびり過ごすとするか。
ベッドに寝転び天井を仰ぐと、そこにふわりと浮かんでくるのは逢坂社長の顔。でも今は、驚くようなことはない。お見合い後に浮かんでくる逢坂社長の顔はどれも笑顔で、私の疲れた心と体を癒やしてくれるものばかり。
でもその笑顔も、偽りの恋人を演じるためのツールに違いない。そうわかっていても、普段会社で見ることのできない表情に、心が動かされてしまう。