偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

「しゃ、社長!?」

『出るのが遅い。なんだ、もう寝てたのか?』

「いや、起きてましたけど。まさか逢坂社長からだとは思わなくて」

 もしかして私の願望が、社長に届いちゃったとか?


『真史』

「へ?」

『なんで逢坂社長とか呼んでるわけ? もう忘れたとか?』

「あ……」

 すっかり忘れてました。だってお見合いの日から、もう四日も経ってるんだよ? その間一度も話をしてないし、そこをそう突っ込まれてもねぇ……。

 でも今ここでそれを言えば、あとで大きな代償を支払う羽目になるのは目に見えてる。だっだらここはひとつ、上手くごまかすしかなさそうだ。

 小さく息を吐くと、スマホを握る手に力を込める。

「忘れるはずないじゃないですか! なんだかまだちょっと、恥ずかしくて……」

 うん、我ながらよくできた反応じゃない? しおらしさ抜群、これならさすがの逢坂社長も騙されるに違いない!
ホクホク顔で、社長の反応を待つ。



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