偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
『朱里の口から恥ずかしいとか。誤魔化すためとはいえ、よく頑張ったな』
でも彼は一枚も二枚も上手で。クククッと堪えていた笑いを大爆笑に変え、腹を抱えて笑っている姿までが目に浮かぶから恐ろしい。
私はと言えば心の中までをも見透かされてしまって、恥ずかしいやら悔しいやら、為す術もない。
『素直に忘れてたって言えば、許してやったのに』
そんなの絶対に嘘!
「言ったら言ったで、罰とか言うくせに……」
怒り心頭で、心の声が表に出てしまう。あっと思ったのも時すでに遅しで、電話の向こうの雰囲気が変わったのを感じて、体中に緊張が走る。
『そうか、朱里は罰が欲しいんだな』
「だ、誰もそんなこと言ってないじゃないですか!」
誰が好き好んで『罰を与えてください』って言う人がいる? 私はそんな、痛いとか苦しいことに快楽を感じる人間ではありません!
興奮気味にそう訴えても、逢坂社長には通じるはずもなく。