偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

『真史と呼ばなかったんだから、次会うときに“キス”忘れるなよ。いいな?』

 そう当たり前のように言われて、負けを認めざるほかなくなってしまった。

「わかりました。会社以外で会うことがあったらなんでもします。だから早く要件を言ってください。こんな時間に、仕事で何かありましたか?」

 夜中の十一時過ぎ。逢坂社長……じゃなかった。真史さんと言い争っている場合じゃない。仕事の話なら、さっさと済ませてほしい。

『朱里は本当に仕事が好きなんだな。社長としては頼もしい限りだが、こんな夜更けに仕事の話で電話すると思うか?』

 そ、そうなの? じゃあ一体、なんの話があるっていうの?

 あれやこれやと考えを巡らせても、何も思い当たらない。全く心当たりがないんですけど……。

『明日』

「え?」



< 78 / 195 >

この作品をシェア

pagetop