偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
『真史と呼ばなかったんだから、次会うときに“キス”忘れるなよ。いいな?』
そう当たり前のように言われて、負けを認めざるほかなくなってしまった。
「わかりました。会社以外で会うことがあったらなんでもします。だから早く要件を言ってください。こんな時間に、仕事で何かありましたか?」
夜中の十一時過ぎ。逢坂社長……じゃなかった。真史さんと言い争っている場合じゃない。仕事の話なら、さっさと済ませてほしい。
『朱里は本当に仕事が好きなんだな。社長としては頼もしい限りだが、こんな夜更けに仕事の話で電話すると思うか?』
そ、そうなの? じゃあ一体、なんの話があるっていうの?
あれやこれやと考えを巡らせても、何も思い当たらない。全く心当たりがないんですけど……。
『明日』
「え?」