偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

『ドライブデートするからな。七時に迎えに行く』

「明日、ドライブデート……デート、ええぇぇぇぇっ!! デートッ!? デートッてあの!?」

『耳元でうるさい。何回デートデートッて言うつもりだ。デートって言ったら、ひとつしかないだろう。いいな、寝坊だけはするなよ。おやすみ』

 真史さんはそれだけ言うと、私の返事を待たずに電話を切った。

「おやすみ、なさい……」

 電話の向こうに、もう真史さんは居ない。呟くようにおやすみの挨拶をすると、耳からゆっくりスマホを下ろした。

「デート……」

 真史さんは、確かにそういったよね? デートといえば親しい男女が日時を決めて会うこと──と記されているけれど、私と真史さんは本当の恋人じゃない。そんな関係の男女が、ふたりっきりでデートなんてしてもいいんだろうか。

 敵を欺くにはまず味方から──。

 ふと、そんな言葉が脳裏に浮かぶ。



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