偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
お見合いのとき真史さんは、『俺たちの間では偽りでも、他人から見たら本当の恋人のように振る舞わないといけない』と言っていた。
お見合いはうまくいったのに、連休にデートのひとつもしない。家でのんびりゴロゴロしていたのでは本末転倒、すぐに疑われても仕方がない。
だとすれば、明日のデートの誘いは親や伯母たちへのカモフラージュ。ちゃんとお付き合いしてますよと、アピールの意味があるということだろうか。
さすがは真史さん、ちゃんと考えあってのこと。計画的だ。
でも、私の心の中は複雑で。
傍からは恋人同士に見えても、本当のところは──。
「なんて、考えるだけ無駄だよね。そんなことより七時に迎えに来るって、どこ行くつもり? 早いんだけど……」
憂鬱なため息を漏らすとスマホのアラームを五時にセットして、掛け布団をすっぽり頭まで被った。