偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
それに、母が選んでくれた七分袖の黄色のオフショルニットにギンガムチェックのスカート姿の私と、案外バッチリお似合いじゃない?
真史さんと並んで歩く姿を想像して、フフッと笑みが溢れる。
「振り袖も似合ってたが、今日の私服姿も普段と違うイメージでいいな」
「え?」
一瞬心の中を読まれたかと思ったけれど、顔を見る限りそうでもないらしい。真史さんの満足そうな柔らかい表情に、胸がキュンと疼く。
「普段の私は、地味で色気も素っ気もないですもんね」
けれどそんな言葉を掛けられることに慣れていない私は、可愛くない態度をとってしまった。
でも真史さんの反応は、思っていたのと違うもので。
「仕事に色気なんて必要ないからな。メニュー開発事業部ならなおさらだ。でも俺は朱里のことを、一度だって地味なんて思ったことはない。いつだって可愛いと思ってたよ」
想像すらしてなかった言葉に、彼を見つめたまま動けなくなってしまった。