偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

 いつまでこの関係を続ければいいのか私にはわからない。でも一緒にいる限りは楽しい時間を過ごして、素敵な思い出を作りたい。

 偽りだとしても逢坂社長の恋人、しかもデートなんて欲張り過ぎかもしれないけれど。これくらいの欲張りなら、神様も許してくれるよね?

 じっと真史さんを見つめていると、ちろっと目を動かした彼と視線が交わり大きく心臓が跳ねる。慌てて目をそらし俯くと、呼吸を整えた。

「なあ、朱里」

 私の名前を呼ぶ声に顔を上げる。ふいにハンドルを握っていない方の手が伸びてきて、私の頭を優しく撫でた。

「悪かった」

 今度は突然謝られて、一体何のこと?と小首を傾げる。

「親や伯母たちの目を欺くために俺たちは偽りの恋人を演じる……と言ったのは俺だが、どうやらその言葉が朱里を苦しめていたみたいだな」

「いえ、そんなことは……」

 無いとは言えないけれど、それは私も納得した上で了承したこと。真史さんひとりが悪いわけではない。



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