偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

 確かに、真史さんが言うとおりなんだけど、脱げの言葉に戸惑ってしまう。別に服を脱げと言われてるわけじゃないのに、なんだかこっ恥ずかしい。

 どうしようかとモジモジしていると、痺れを切らした真史さんが跪き、私の足に手をかけた。

「きゃ!」

「きゃ!じゃない、動くな。足を上げろ」

「は、はい」

 いきなり社長モードの真史さん登場に驚いて、体は勝手に反応。スッと片足を上げると、パンプスはいとも簡単に脱がされしまった。もう片方も難なく脱がされ、裸足で砂浜の上に立つ。

「その方がいいだろう」

 真史さんはそう言うと右手でまた私の手を握り、左手にはパンプスを持ってスタスタと歩き出した。

「えっと、その、真史さん。私のパンプス……」

「いい、俺が持つ。気にするな」

 そう言われても、私はすっごく気になるんです!

 でもきっと真面目な真史さんのことだ、何度言っても同じ返事が返ってくるに違いない。ここは諦めて、お願いするしかなさそうだ。



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